「100年の編み手たち 」 東京都現代美術館

東京都現代美術館が改装になって良くなったという評判を聞いて、のこのこでかけてみた。

「100年の編み手たち」と題して、この百年間、その時々の「現代」をリードした人に焦点を当てながら作品を選んで展示している。所蔵品から選んでいるらしく、仕方ない事ではあろうが、企画意図を満たすにはほど遠い展示だった。そして、この所蔵品の質量に薄ら寒さを感じてしまった。

東京都現代美術館という名前を頂いているのに、この規模の建物とコレクションしきり持たないということに愕然とする。世界の情勢からはほど遠い。

購入予算が少ないと推察できるが、つまりは行政や議会が社会の展望を創る意志の無いことを示している。木場の現代美術館のありようそのものが一番の現代美術だった。

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日本人は変わった

日高六郎が語る戦後の中で、示唆をうけた。

敗戦は日本人に大きな影響を与えたことは誰にでも判るが、もう一つ1980年代のバブル景気の時に日本人は変わったというのだ。

最近になって、世の中の趨勢と乖離を感じることが多いのだが、こう言われると良くわかる。

丁度この時期に私は奥多摩の山中に転居して、鎌倉時代から江戸時代の絵画を自分なりに理解することに集中していたので、社会の影響を受けながらも理解をしていなかったようだ。

 

産業社会が人間性を破壊して行くということは、古くからいわれている。しかしその事が現実になった時には、我々はそれに気が付かない。

私が日本画を理解するのに長く時間を要してしまったのには、それが本当の意味では省みられることなく、歴史として語る者もないことによる。それでも注意していると、断片的に有意義な評論があるのだから、纏めてくれる人がいても良さそうなものに思える。歴史の重要性を私たちはあまり理解していないのではないか。

 

それはそれとして、大きな歴史的な変化、断絶ともいうべき変化が生まれていたのに気が付かなかったことに愕然としている。

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