ふと思いついた、しかしなんだかよくわからない考えを、文字にして書き出してみると、それが何物であるかはっきりとすることがある。
感じていたよりもはるかに重大であったり、思いの外にくだらない迷いであったりする。
物を見て描く、素描と言って良いのかデッサンと言って良いのか、迷うところであるのだが、その行いにはそれと同じような働きがある。視覚には言語に頼るところと、それを離れたところがあるのが面白い。
画家が日常的にデッサンを行うのは、常に自分を問い続け、人間とは何かと問い続けるのが芸術と考えるからで、そこに現れる風景に諾否の判断を下し続ける他に、方法がないからだ。
そうした行為にどんな意味があるのかと問うならば、その問いを発した場所をまず申請しなければならない。
そんな所での話だ。